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  • 第21回「三藤」

東海エリアを中心とした
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Ohisama Marchéおひさまマルシェ」では東海エリアで活躍されている方々やおススメの場所などを紹介し、東海エリアのいいところをお届けしていきます。

地元のいいひと いいとこ みーっけ♪

今回は、名古屋市を拠点に、全国で舞台に立ち常磐津の魅力を伝える活動をされている「女流常磐津奏者」の常磐津綱鵬さん、常磐津綱実さん、常磐津綱千華さんにお話をお伺いしました!

●常磐津(ときわず)とは?…

―「常磐津とは、江戸時代の中頃から、歌舞伎と共に発展してきた『浄瑠璃(じょうるり)』の流れをくむ『語り物』と言われるものです。
舞台には、浄瑠璃を語る太夫(たゆう)と三味線弾きがおり、三味線の音にのせて太夫が物語を語ります。
ストーリーのある曲に節をつけて演奏するのですが、常磐津では『歌う』ではなく、『語る』と表現することが特徴の一つです。
 常磐津は歌舞伎の舞台でも演奏されていますが、歌舞伎は知っていても常磐津には馴染みがない方も多く、『どういったものなの?』と聞かれることもしばしばです。
ただ、常磐津はセリフが多くドラマ性が高い曲目もあり、初めての方にも楽しんでいただけると思います。
まずは、足を運んでいただけたら嬉しいですね。」

●常磐津の「魅力」と「醍醐味」、これがあるからやめられない

「常磐津には楽譜がなく、師匠から弟子へ伝承されていくため、何度も聴き、練習を繰り返して自分のものにしていきます。舞台に上がれば太夫と三味線という役回りに分かれますが、息を合わせ、互いにタイミングを計るために、両方の音を覚えていきます。
常磐津では一人で複数の役を演じることも多く、男性が女性の声色を、女性が男性の声色を演じたりもします。
節回しも面白く曲調にもそれぞれの個性があり、比喩表現も独特で、そこもまた魅力の一つです。
例えば、唄の中に『雪をいただく』『白雪が積もる』という表現がありますが、これは『白髪になっていく』ことを現しています。
初めて聞いたとき、とても趣のある表現に感激しました。
常磐津の節回しや表現には特有の面白みがあり、日本人であればどこかしら琴線に触れるものがあると思います。
目の前の舞台で役者が演じていなくても、太夫の『語り』を聴きながら想像の世界を楽しんでいただける。
聴く面白さ、想像する楽しさを味わって頂けるのが常磐津の醍醐味です。」

●常磐津を初めて聴かれる方へのアドバイスをお願いします!

「せっかくの機会だからと和装でお越しの方もいらっしゃいますが、鑑賞される際に特に決まりごとはなく、服装も自由です。
一つアドバイスをするのであれば、事前にどういった内容の演目なのかを調べてお越しいただくと、より一層お楽しみいただけると思います。
 ―ちなみに常磐津の中で重要な三味線ですが、三味線の皮は動物の皮でできていて、弦を「弾く」というより「叩く」ように演奏することから、弦はあっても打楽器の部類に入ります。
 また、踊る人は「立方(たちかた)」、座っている人は「地方(ぢかた)」という呼び名がそれぞれあり、向かって右側に三味線、左側に太夫という立ち位置も決まっています。そんな常磐津の決まり事も意識して見ていただくと面白いかもしれません。
これを機会に、少しずつ常磐津の世界に触れていただけたら嬉しいです。」

●これからの常磐津への想い

 常磐津を始められた経緯はそれぞれ異なるとのことでしたが、お三方とも幼少期から和楽器や伝統芸能に触れる機会があったそうです。
「リコーダーやピアニカのように、学校の授業の一環で和楽器を習う機会が増えたらと良いと思います。
日本の伝統芸能をもっと身近に知って楽しんでほしい!情報が多く忙しい現代ですが、そんなときにこそ三味線の音色に耳を傾けて、和んでほしい。
 ―若い世代の方に常磐津の魅力を伝えられるように、今後もたくさんの人たちと触れ合う機会を増やしていきたいです。」
 ―お三方ともご自身の経験をもとに常磐津を広めていきたいという今後の想いを語っていただきました。

取材を終えて・・・(後記)

伝統文化の継承、お稽古を積み重ねて厳しい世界だと想像しますが、皆さんの持ち前の前向きさ、ひたむきさ、明るさに心惹かれました。厳しい中に優しさあふれる素敵なお師匠との出会い、そして舞台での緊張を乗り越え支え合う3人の絆があってこそ、現在まで活動を続けることができました、というお話も胸に迫りました。
これからもご活躍を応援したいと思います。
(江島)

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